奨学金が返済できず自己破産!破産する前の対処法と自己破産のデメリット

学生時代に借りた奨学金が高額すぎて、社会人になってから生活にまったく余裕がなくなったという人いますよね。

同じように奨学金を返済できずに自己破産する人が増えて、ちょっとした社会問題にもなっています。

ところが自己破産にはデメリットも多く、自己破産後にとても不便な思いをすることもありますが、そのことを理解せずに安易に自己破産を選んでいるケースが目に付きます。

ここでは、自己破産をするまえにできる対処方法や自己破産のデメリットについて、経験者の文子さん(仮名)にインタビューさせて頂きました。

なぜ奨学金で自己破産をする人が増えているのか

2016年までの5年間で、奨学金にからむ自己破産者の数は15,338人もおり、このうち本人の自己破産が8,108人、保証人が7230人です。

1年間の返還者数が約410万人ですので、微々たる人数に思えるかもしれませんが、それとは別に全体の3.9%もの人が3ヶ月以上の延滞をしています。

なぜこのような状態が発生しているのでしょう?

毎月の返済を行うと生活がギリギリ

収入が少なくて、返済が困難になっているという人が多いようですが、奨学金の返済は無利子も有利子も、毎月1万5千円程度です。

大卒の初任給は約20万円で、手取りだけで16万円はあるはずです。

ところが全国の一人暮らしの生活費平均が約15万円となっていますので、奨学金の返済を行うと、ほとんどの人が1円も貯金できない状態にあります。

都市部で生活をしている場合には、平均よりも家賃が3万円近く高くなりますので、余裕がまったくないどころか、生活を切り詰めないと家計がマイナスになります。

この計算から、奨学金の返済を行っているほとんどの人が生活苦に陥っていることがわかります。

自分だけでないと分かって安心したかもしれませんが、仲間がいることが分かっただけで、何も改善していませんよね。

むしろそんな中でも多くの人がきちんと完済しています。

自己破産を考えなくてはいけないほどの状態になる人と、完済できる人とでどのような違いがあるのでしょう。

返済できないのは自己責任ではない

生活が苦しいのに、毎日のように飲み歩いているという人もいるかもしれませんが、ほとんどの人は自炊をしたりして節約しながら生活をしていますよね。

そうやって、なんとか返済を続けていたとしても、人生では思わぬ出費というものが発生します。

  • 病気にかかって入院した
  • 結婚式が続いてご祝儀が必要になった
  • 生活家電が壊れた
  • 通勤で必要な車が壊れた
  • 会社が倒産した

結婚式は不参加にするという選択肢もありますが、その他の状況というのは誰にでも起こり、そして簡単に家計が破綻する要因でもあります。

そういう急な出費に対応するために、銀行や消費者金融からお金を借りてしのいだところで、返済を先送りしているに過ぎません。

ちょっと運が悪いだけで、このように簡単に生活苦になるというのが、奨学金の返済をしている人の現状です。

自己破産をする前にできる対処方法

奨学金の返済が難しくなるのは「運が悪かった」で済みますが、だからといってすぐに自己破産を選ぶべきではありません。

自己破産をする前に、まずは次のような対処方法を試してみましょう。

  • 所得連動返還方式に変更する
  • 減額返還制度を利用する
  • 返還期限猶予制度を利用する

いずれも日本学生支援機構の制度で、返済を一時的に止めてもらえる、もしくは減額してもらえる制度です。

どの制度を利用すればいいのか判断に迷うという場合には、まずは日本学生支援機構の奨学金相談センターで相談してみましょう。

返済する意思があるのなら、最適な対処方法を提案してもらえます。

奨学金の返済を止めたり、減額したりしてもらっているうちに生活を立て直して、自己破産ではなく、まずは完済を目指しましょう。

この他にも返還免除制度がありますが、これは本人が死亡したり、精神や身体の障害により働けなくなったりしたときに利用できる制度ですので、返済に困ったというだけでは利用できませんので注意して下さい。

奨学金で自己破産した人にインタビュー。自己破産の手続きには時間がかかる?

 

初めまして、本日はお時間頂きありがとうございます。
早速インタビューに移らせていただきますね!
まずは、文子さん(仮名)のプロフィールを教えて下さい。

 
 

文子と申します、よろしくお願いします。
36歳で、専業主婦をやっています。

 
 

借りていた当時の年齢と年収をお答えください。

 
 

当時は24歳で、年収は大体200万円くらいだったとおもいます。

 
 

ありがとうございます。過去に奨学金を返済できずに自己破産されたということですが、現在はどのような生活を送っていますか?

 
 

19歳から30歳ごろまでは福岡に住んでいて、自己破産申請中に離婚をしたので子供を連れて青森の実家に戻りました。
2年ほど前に再婚して、今は40歳の自営業をしている旦那と、去年の8月に生まれた子供、5歳の連れ子の4人で暮らしています。
子供が1歳になるまでは自分の手元で育てたいという旦那の意向もあり、専業主婦をやりながら空いた時間でライティングの仕事をしています。

 
 

そうなんですね。文子さんが奨学金を借りたきっかけというのは何だったんでしょう?

 
 

親の仕事が上手くいかなくなって、だんだんと生活費が貰えなくなってしまって。
生活費を稼ぐためにバイトに明け暮れた結果、テストの点数が下がって進級出来なくなり、留年を繰り返しました。
それでも学校を辞めることは許されなかったので、バイトをしながら学校に通い、日本育英会から奨学金も借りてやっと卒業にこぎつけました。
その後、実は親が学費を滞納していたのを知ったんです。
大学を卒業しようという時に「学費未納だから卒業させられない」と学校側に言われて、学費を出してくれるという個人経営の会社を探しました。
そこで、なんとか卒業するためにお金を借りたんです

 
 

具体的に、奨学金はいくら借りましたか?

 
 

日本育英会からは150万くらいですね。
それと、個人経営の会社からは「卒業したら会社で働く」という約束で500万円借りました。
なかなか親にも聞きづらいことなのではっきりとは覚えていないんですが、5年ほど前から月1万~3万くらいは育英会に返済していたようです。
育英会のほうは、無事2018年に完済することが出来ました。

 
 

それぞれの奨学金の金利や返済年数はどのくらいでしたか?

 
 

日本育英会の方は親からあまり話を聞けていないこともあって、実際の金利などはわかりません。
会社の方は、毎月5万円、10年払いだったと思います。
正確な金利については覚えていないんですが、行政書士の方に他と比べて利子が高いと言われたのを覚えています。

 
 

毎月5万円となると、普通に働いていてもかなりの額ですよね。
具体的に、文子さんが奨学金の返済が辛くなってしまった理由をお聞かせ下さい。

 
 

国家資格を取れなかったんです。
奨学金を借りていた会社で働くには国家資格が必要だったんですが、生活のために資格の取得を諦めたので、その会社で働けなくなりました。
毎月5万円を返済するために朝から晩までバイトをして何とかお金を用意していましたが、子宮系の病気になってしまったんです。
治療費がかさんだり仕事を休んでしまったりで減った分の給料を埋めるために消費者金融に手を出し、自転車操業で返すようになってしまいました。
それを見かねたバイト先の事務の方に知り合いの行政書士を紹介してもらい、何とかなったという感じです。

 

 

病気を抱えながら働くというのは本当に大変ですし、周りの人になかなか頼れないとなると消費者金融に手を出してしまうこともありますよね。
自己破産をされる前に、何か他の方法で対処されましたか?

 
 

日本育英会の方は私のところに直接振込用紙が来ていた訳では無かったので、正直すっかり忘れてしまっていました。
もう一つの方は会社の社長さんに事情を話し、「少しだけ待ってもらえないか、何とか減額することはできないか」とお願いしたものの、人が変わったかのように怒鳴られて話になりませんでした。
お金を借りたのに国家試験に受からなかったのは私の責任ですし、当然何とかして払わなくてはならないと思っていましたね。

 
 

自己破産をされる前に、誰かに相談されましたか?

 
 

先ほどお話した、行政書士を紹介して下さった専務の方と、当時の私の彼氏にも相談しました。
そのときは、自己破産するのではなく借金などに頼ってでも返済した方が良いのではないかという相談をしたのを覚えています。
また、自己破産することを決めた後に両親にも報告をして、必要な書類の提出をお願いしました。

 

 

会社の方や恋人など、周りに相談できる方がいると気持ちも少し楽になりますよね。
それでは、自己破産をして良かったなと思うことはありますか?

 
 

そうですね、気持ちが楽になったことが大きいかなと思います。
行政書士の方に相談してから支払いに追われることも無くなり、少し体を休めることも出来ましたし、アルバイトを辞めて自分の知識を活かした職業に就きたいと考えるようになりました。
結局妊娠したので転職自体は出来なかったんですが、大きな借金を抱えたままでは子供を産むことも出来なかったと思うので、結果的には自己破産して良かったと思っています。

 
 

ありがとうございます。
では、逆に自己破産をして後悔したことを教えて下さい。

 
 

やっぱり、私を信用してお金を貸して下さった会社の社長さんには本当に申し訳ないなと思っています。
LINEの「知り合いかも」のところに社長さんのアカウントが出てくるんですが、やはり見かけると目を背けてしまいます。
それと、ほとんどの借金は自己破産をしたことで無くなったんですが、日本育英会の奨学金は連帯保証人である親に支払い義務が行ってしまったんです。
少しずつ払って今は全額返済したと聞いていますが、それでも親に迷惑をかけてしまったので申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 
 

やはり自分だけでなく、周りの人にも迷惑がかかると申し訳なく思ってしまいますよね。
自己破産をして、困ったことはありますか?

 
 

自己破産をして一番困るのはローンが組めないことですね。
離婚をして戻った青森県は車が無いと生活できないところなんですが、当時の私は免許を持っていなかったんです。
自分ではローンを組めず、支払いこそ私自身でしたものの母親にローンを組んでもらう必要がありました。
再婚してからも、旦那が自営業をしていてローンを組むような場面があるんですが、私が代わりに組むといったことが出来ないので、もどかしく思うことが沢山あります。

 
 

自己破産をされた後、文子さんの周囲の環境や人間関係に変化はありましたか?

 
 

自己破産をしたからこそ、体を治すことが出来たり子供を授かれたり、色々ありましたが、今は人並み以上に幸せだと思っています。
私が自己破産したことを知っているのは身内の人だけなんですが、前よりも内向的になりましたし、自分から外に出ることもなくなりました。
周りの人は知らないはずなんですが、「自己破産のこと、知ってるよ」と言われているように感じる時があるんです。
旦那にも、ローンが組めないといったこともあっていつも申し訳ない気持ちがありますね。

 
 

今は、奨学金を借りたこと自体に後悔されていますか?

 
 

いえ、奨学金を借りたことには後悔していません。
確かに高いお金を払って大学に行ったのに国家資格が取得できず、当時は借金苦にかなり悩みました。
でも、大学生活はとても楽しかったです。
目一杯頑張ったので、国家資格は取れませんでしたが、学部卒業という学歴が取れました。
これがあるだけで、派遣でも田舎の1か月半くらいのお給料を提示して頂けるんです。
ただやっぱりお金のことで色々とあったので、前よりも精神的に落ち込んでしまうこともあって、なかなか外で働くのは難しいなあと思ったりします。

 
 

文子さん自身は、今奨学金についてどう思われていますか?

 
 

いい制度だと思うんですが、学部によってはやはり額が少ないと思いますね。
私は医薬理系だったので月に12万円ほどもらえましたが、文系の人だと場合によっては月5万円しか貰えないと聞いたことがあります。
知り合いもそのような理由でバイトをしていましたが、学業との両立でかなり疲れていると話していました。
また、卒業をしても数十年近く支払いが続くため、病気やケガなどで仕事を休んだり、給料が減ったりすればすぐに支払いが困難になります。
そのあたりを見直す必要はあると思いますね。
また、奨学金の審査自体もかなり厳しく、なかなか通らないので、もう少し借りやすいようになればいいのにと思います。

 

 

 

学業に専念するために奨学金を借りたのに、結局お金が足りずバイトで学業がおろそかになってしまうと本末転倒ですよね。
では、自己破産する前にこうしておけばよかったと思うことはありますか?

 
 

「自己破産するのではなく、自分の力で返さなければいけない」と自分自身を追い詰めずに、勇気を出して話だけでも聞きに行けば良かったと思います。
返済を先延ばしにしてしまっていたせいで借金の額が減らず、給料日が待ち遠しくて、せっかく給料が入ってもその日のうちに支払いに消えてほとんど残らなくて…。
それと、自己破産の手続きを始めたらすぐに適用されると思っていたんですが、決定まで想像以上に時間がかかりました。
打合せなども何回かあったのですが、専務の方が融通を利かせてくれて、仕事の合間を縫って進めることが出来たので、本当に感謝しています。

 
 

ありがとうございます。
それでは最後に、文子さんから奨学金で自己破産を考えている方にアドバイスをお願いします。

 
 

奨学金は借りる必要が無かったら最初から借りることなんかないですよね。
色々な事情があって借りないといけないこともありますが、最初から自己破産まで考えて借りる方はいないと思います。
自己破産は、開き直るという訳ではありませんが、自分自身が変われるチャンスだと思います。
確かにお金を貸してくれた方には申し訳ないですが、借金のことばかり考えて生活していても、全然楽しくありません。
楽しい未来のために奨学金を借りたのに、そのせいで暗い未来にすることはないんです。
私もまだまだ申し訳ない気持ちでいっぱいですが、自己破産というチャンスを得て小さくても人並み以上の幸せを持てるようになりました。
もし今「自己破産してみようかな」と考えているのなら、行政書士の方に話だけでも聞いてみてはいかがですか?
自己破産以外の方法もきっとアドバイスして頂けるはずです。
そうして、自分に合った返済方法を見つけて貰えればと思います。

 
 

以上でインタビューは終了となります。
本日はとても貴重なお話を聞けて良かったです。
ご協力頂きありがとうございました!

 
 

こちらこそ、話せてよかったです。
ありがとうございました。

 

自己破産のメリットとデメリット

文子さんの体験を元に、奨学金を返済できずに自己破産することでのメリットとデメリットについてまとめてみました。

メリット

  • 返済から開放され気持ちが楽になる
  • 人並みの幸せを手にすることができるようになる

メリットはなんといっても、奨学金を返済しなくても済むため気持ちが楽になるということです。

ちなみに奨学金の他にも借金があった場合には、それも含めて返済する必要がなくなります。

そして、毎日のように借金の返済に追われて苦しんでいた日々が嘘のように、人並みの幸せを取り戻せたというのが、大きなメリットになります。

デメリット

  • ブラックリスト入りしてローンを組めなくなる
  • 連帯保証人・保証人が返還請求を求められる
  • お金を貸してくれた人に申し訳なくなる

大きなデメリットとしては、個人信用情報に金融事故の履歴が残ってしまいますので、いわゆるブラックリスト入りした状態になります。

ブラックリスト入りすると自己破産をしてから10年間は、クレジットカードを作れなくなったり、ローンを組めなくなったりします。

これは思った以上に、日々の生活の中で不便を感じることになります。

そして、最も大きなデメリットは、連帯保証人や保証人が奨学金の返済をしなくてはいけなくなるということです。

文子さんのように親が連帯保証人で自己破産を行うと、親が返済をしなくてはいけなくなります。

親が払える場合にはまだいいのですが、連帯保証人の親にも払う余裕がない場合には、親にも自己破産をさせることになります。

連帯保証人がいるため、自分だけの問題ではないというのが奨学金の難しいところです。

自己破産の手続方法

自己破産をすると連帯保証人や周りの人に迷惑をかけることになりますが、無い袖は振れませんので、対処できない場合には自己破産を選ぶしかありません。

そのときの手順は次のようになります。

  1. 弁護士や司法書士に相談する
  2. 取り立ての停止
  3. 必要書類を準備する
  4. 破産手続きの申し立て・開始
  5. 免責審尋
  6. 免責の決定

このうち自分で行うのは、弁護士や司法書士への相談と必要書類の準備、そして免責審尋だけです。

免責審尋は免責申立内容について、裁判所で質問を受けます。

基本的には弁護士や司法書士に任せておくだけで、自己破産まで進めてもらえます。

ちなみに弁護士費用の相場は20万〜40万円で、ほとんどの弁護士事務所は分割払いに応じてもらえます。

額も少なく返済に対して配慮はしてくれるとはいえ、奨学金の返済同様に毎月の返済があります。

結果的に返済がまったく楽にならないというケースも考えられますので、支払い方法については必ず依頼前に確認しておきましょう。

まとめ:自己破産で借金問題は解決するけど、デメリットをきちんと理解して行おう!

奨学金を返せなくなり、自己破産するというのはよくないと分かっていても、それ以外に選択肢がないという状況に追いやられることもあります。

そういうときに自己破産するのは仕方ないことですが、ここでご紹介しましたように、大きなデメリットがいくつもあるということはきちんと理解しておきましょう。

特に親が連帯保証人になっている場合には、親が全額返済しなくてはいけなくなります。

その結果、親まで自己破産させられ、実家を手放さなくてはいけなくなることも考えられます。

自分だけの問題ではなく、家族を巻き込んでの問題になります。

自己破産しか選択肢がなくなったときには、まず連帯保証人に相談して、それでも解決しなかったときは弁護士や司法書士に相談するようにしましょう。