後悔しない民泊の始め方|費用、収入、トラブルは?補助金や融資を受ける方法

最近は海外から日本にやってくる観光客も増え、それに合わせて民泊によって小遣い稼ぎをしている人も増えつつあります。

しっかり稼げる副業として紹介されることも多い民泊ですが、興味はあるけど実態がよくわからなくて躊躇している人も多いかと思います。

今回は民泊の始め方について、必要な費用や資金調達方法など、どのような点に注意すればいいのかも含め、すでに民泊を始めた人にインタビューさせて頂きました。

民泊とは

インタビュー内容についてお伝えする前に、民泊についての基本を知っておきましょう。

民泊の本来、民家に泊める(民家に泊まる)ことを意味しますが、現在は個人が所有している家やマンションなどの部屋を、Airbnbなどのサービスを利用して旅行者に貸すビジネスのことをいいます。

日本では海外からの旅行者が増加傾向にありますが、ホテルの数が不足している状態にあり、その問題を解決する方法として民泊が注目されています。

ただビジネスとしての民泊が増え始めた2008年頃は、旅館業法の条件を満たす民泊がほとんどなく、これに対する法整備として住宅宿泊事業法が制定されました。

民泊の種類

その結果、ビジネスとしての民泊は現在3つに分類されています。

  • 旅館業法簡易宿所営業による民泊
  • 特区民泊(国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度を活用した民泊)
  • 住宅宿泊事業法による民泊

ビジネスとしてスタンダードなのは旅館業法による簡易宿所営業で、旅館業法の許可を得て空き室を提供する民泊です。

ここ数年で増えつつあるのが特区民泊で、この民泊では国家戦略特別区域で外国人向けの宿泊施設を提供します。

そして、現在の民泊ブームを支えているのが住宅宿泊事業法による民泊で、届け出を出すことで年間180日まで、自宅などの部屋を民泊として貸し出すことができます。

本業として民泊を行う場合には、旅館業法簡易宿所営業による民泊か特定民泊、副業として民泊を行う場合には住宅宿泊事業法による民泊が適しています。

所有物件での民泊と賃貸物件での民泊

民泊は持ち家などの所有物件で行うと思っている人もいるようですが、賃貸物件を利用して民泊を行っている人もいます。

所有する物件で民泊を始めると家賃が発生しないため収益をあげやすいというメリットがありますが、物件の立地が悪い場合には集客が難しいというデメリットがあります。

賃貸物件の場合には家賃の支払いがあるため、しっかりとした事業計画を立てから開始しないといつまでたっても利益を出せませんが、交通の便のいい場所での開業ができます。

どちらも一長一短ですが、必ずしも自宅を利用しなくてはいけないという決まりがあるわけではないので、どのような民泊を目指すのかによって決めるようにしましょう。

民泊を実際に始めた人にインタビュー!今から始めても利益は出る?

 

光男(仮名)さん、初めまして。
本日はよろしくお願いいたします。
はじめに、年齢や現在の職業について教えて下さい。

 
 

よろしくお願いします!
光男と申します。56歳で、今はフリーランスの仕事をしています。

 
 

具体的にはどのようなお仕事をされていますか?

 
 

現在は主にWeb系のフリーランスとして活動しています。
CMS(WordPress)でのホームページ制作やライティング、SEO対策などですね。
また、最近CrowdWorksに登録しました。
まだまだ初心者ですが、プロジェクト形式のお仕事に移行するため準備を進めています。

 
 

差し支えなければ、民泊経営を始められた際の年齢と始める前の年収をお答えください。

 
 

民泊経営を始めたのは7年前、49歳のころです。
始める前の年収は0円でした。

 
 

最近巷でもよく聞く「民泊」ですが、光男さんはなぜ民泊経営を始めようと思われたんでしょうか?

 
 

当時、何か事業を始めようと思って色々探していました。
ちょうどその時、知人が社員寮として運営していた建物が空き家になっていたので、なんとか上手く活用できないかと思案した結果民泊を経営してみようと思ったんです。
もともと社員寮として設計されていたこともあって改築の必要が無かったこと、バス停やJRの駅を始め周囲の利便性も良かったので民泊を始めようと決断しました。

 
 

最近は自分が使っていない部屋や別荘などを活用する例も増えてきていますよね。
大々的なリノベーションが必要になるケースも多い中、社員寮用の物件を利用できたのはかなりラッキーと言えそうです。
まず、民泊を実際に始める前で苦労したことは何ですか?

 
 

一番大変だったのは民泊に使用する建物の内装関係だったと思います。
当時は自分でやったので、全面フローリングの床に掃除機をかけてモップで拭き、ワックスをかけるなどかなりの時間と労力を費やしました。
トイレの温水洗浄便座の設置やキッチンなど各部屋のセッティングを考えると、作業終了までに3日ほどかかったと思います。
最近は手ごろな業者も増えているので、自分だけではしんどいと感じたら専門家に依頼するのもアリですよ。

 
 

民泊経営を始められる際、準備したものを具体的に教えて下さい。

 

 

【家具・家電】
主な家具として、冷蔵庫、電子レンジ、キッチン用テーブルとイス、炊飯器や洗濯機などを用意しました。
意外と重要なのがトイレの温水洗浄便座で、設置しておくとかなり喜ばれます。

 
 

【台所】
キッチン用品は包丁やまな板、鍋やフライパンに加えて食器一式。
お客様がご自分で料理されることも多いので、最低限の道具をそろえておくと良いでしょう。
ティッシュなどは大量に消費される可能性があるので、キッチンペーパーを置いておくのがおすすめです。

 
 

【掃除用具】
複数の民泊を運営する場合、管理する上で手間がかかるのが掃除です。
「トイレ掃除キット」「キッチン掃除キット」など、場所ごとにまとめておけば時短にもなります。
部屋数が多いなら、掃除機を2か所に分けて置くというのもアリですね。
また、トイレットペーパーは少し多めにあるといいものの、見えるところに置きすぎると盗難の可能性があるのでNG。
お客様の手の届く位置に2~3個置き、残りは見えづらい棚の中にしまっておきましょう。

 
 

【リネン】
掛け布団と敷布団は部屋に泊めてもいい最大人数を計算してから購入するのがおすすめです。
また、時期によってはブランケットや毛布があると評価が上がりやすいですよ。
最近は枕や布団専用のフレグランススプレーも出ているので、掃除の後にさっとスプレーしておくと心地よい香りでお客様を迎え入れることが出来ます。

 
 

【その他】
意外と重要なのが、部屋全体の雰囲気。
誰だって観光やバカンスで来ているのに、自宅と変わらない殺風景な部屋で寝たくないですよね。
IKEAなどで安く売っている絵画やおしゃれな時計を壁にかけておくだけでも雰囲気が変わりますよ。

 
 

光男さんの民泊運営にかけるこだわりが見えますね!
では、民博経営を始められる際にお金を借りることはありましたか?

 
 

特にお金は借りていません。
物件が良く、初期投資が少なかったためだと思います。

 
 

初期投資が少なく、社員寮にも使われていた物件だということで複数の部屋が同時に埋まることもあったと思います。
気になる収入はどのくらいでしょうか?

 
 

大変申し上げにくいんですが、収入は0円でした。
完全に赤字になってしまいましたね。

 
 

これだけの好条件でありながら収入0円というのは、なかなかに厳しいですね。
では、民泊経営によるメリットは何かありましたか?

 
 

やはり空き家や空き部屋を有効活用できたことが大きいですね。
空き家のままだと建物が老朽化してしまったり、セキュリティ面でも様々な問題がありましたが、民泊経営によって管理人を常駐させたことで解消されました。
また、当時の民泊経営開始にあたって用意した家具などはあくまでも最低限のものだけ。
設備投資が比較的安価で済んだので、経営的にも大きなマイナスにならずに済んだと思います。
普通の暮らしではなかなか出会えないような利用者の方と交流できたのも大きなメリットでした。

 
 

「いろんな人たちと交流したいから」という理由で民泊を始められる方も多いと聞きます。
では、逆に民泊経営にあたってのデメリットやトラブルなどはありましたか?

 
 

一番のデメリットは電気代ですね。
通常のホテルと同様部屋に入った瞬間からエアコンをつけっぱなしにする方がほとんどでした。

 
 

また、文化の違いからか様々なトラブルも発生しました。
・冷蔵庫に大量の食品を入れて他の利用者とのトラブルになる
・利用者間でお金の貸し借りに関してトラブルが発生した
・帰る際、部屋をキレイにせずゴミを大量に残したままの利用者がいた
・洗濯物を洗濯機の中に残したまま帰ってしまった
・禁煙とはっきり知らせているにも関わらず部屋の中でタバコを吸われたなど

 
 

現在はすでに民泊経営を辞められているとのことですが、その理由を教えて下さい。

 
 

施設の掃除やゴミ出しなど、管理が思っていたよりも大変でした。
また、タバコが苦手なので禁煙の部屋でタバコを吸われたのもかなりの苦痛でした。
民泊経営でなかなか利益が出ていない中で設備の故障が発生し、これ以上設備に投資することも出来ないし辞めよう、と廃業を決意したんです。
やはり、民泊経営を辞めた最大の理由は「利益が出なかったから」ですね。

 
 

施設の管理をしながら利益を出すのはかなり大変ですよね。
本業がある場合はなおさらです。
では、民泊を運営していく中で印象的だったエピソードはありますか?

 
 

部屋でよくお菓子を食べる方の食べこぼしにアリが集まってきて、就寝中にその方がアリに噛まれたことがありました。
薬局から殺虫剤を買ってきてアリの駆除をするのが大変だったのを覚えています。
その方はこれに懲りたのか、以降は食べ残しをすることもなく綺麗にお菓子を頂いていたみたいです。

 
 

夜中に「アリに噛まれた」と起こされたりなんかしたら大変ですね!
それでは、これから民泊経営をやろうかなと考えている方にアドバイスがあればお願いします。

 

 

これから民泊を開業するにあたり、めったにないことですが用意した建物の営業許可が取れないというケースが増えてきています。
トラブルが多いためか、マンションなどでは規則を変更して民泊を経営出来ないようにしている場合がありますので、面倒であっても事前の確認は怠らないようにしましょう。
また、新法施行により民泊参入のハードルはぐんと下がったものの、年間営業数が180日以内に制限されたことをしっかり考慮に入れる必要があります。
また、こちらも面倒くさいとうやむやにすることが多いですが、セキュリティ面は非常に重要です。
利用者の本人確認や鍵の受け渡し方法など、事前にしっかり設定した上で経営を始めましょう。

 
 

当事者でないと分からない貴重なお話が沢山聞けて良かったです!
新しいWebのお仕事も頑張ってください。
本日はご協力いただきありがとうございました!

 
 

こちらこそ、ありがとうございました。

 

民泊を始めるにあたってのポイント

光男さんの体験を元に、民泊の始め方についてのポイントをまとめてみました。

  • 営業許可が取れないリスクがある
  • 簡易的な宿泊所にしたことで初期費用を抑えられた
  • マナーの良くない利用者に悩まされることもある
  • 必ずしも利益が出るわけではない
  • 内装を自分で行うと時間と労力がかかる

それぞれのポイントについて、分かりやすく詳しく解説していきます。

営業許可が取れないリスクがある

そもそも営業許可が取れないという可能性もあります。

自分の所有している不動産なら、許可が取れない可能性はあまりありませんが、マンションの管理規約で禁止されていたり、トイレや洗面設備の数が足りていないことで許可が取れなかったりすることもあります。

景観に関する条例によって認められないというケースもありますので、民泊を始めようとしている物件で営業できるかを事前に確認しておく必要があります。

簡易的な宿泊所にしたことで初期費用を抑えられた

民泊をするときに、設備が充実している方が魅力的な宿になりますが、設備を揃えれば揃えるほど初期費用が高くなります。

資金に余裕があるならそれでもいいのですが、ほとんどの人がそれほど余裕のないなかでのスタートになると思いますので、最初は割り切って必要なものだけを置くスタイルがおすすめです。

マナーの良くない利用者に悩まされることもある

民泊の難しいところは「利用者を選べない」ということにあります。

外国人の利用者も多く、文化の違いから部屋をきれいに使ってくれない人も多数いるため、ゴミを散らかすなどのマナー違反にストレスを感じることになります。

そんなときに、それも含めて民泊経営だと思えるかどうかが、継続できるかどうかのポイントになります。

必ずしも利益が出るわけではない

民泊を始めるときには、副業であってもある程度の利益が得られることをイメージするかと思いますが、思いのほか儲からないのが民泊です。

利用者がいないときには利益がありませんし、設備の入れ替えや人件費などの出費もあって、赤字経営が続くこともあります。

始めるときには半年は赤字でも耐えられるくらいの資金を用意しておきましょう。

内装を自分で行うと時間と労力がかかる

初期費用を安く抑えるために、DIYで内装を行うというケースが多いようですが、素人が行うと時間と労力がかかります。

開業までの期間が遅くなればなるほど無収入の期間が長くなるので、スタート時から経営基盤が揺らいでしまいます。

光男さんは無借金で開始しましたが、本気で稼ごうと思うなら、お金を借りて業者に依頼するという方法も検討しましょう。

民泊によくあるトラブル

民泊を利用する人の中にはマナーの良くない人がいるとご紹介しましたが、そのような人が様々なトラブルを引き起こします。

  • 部屋のものを盗まれたり壊されたりする
  • 禁煙の部屋でタバコを吸われた
  • ゴミの分別をしない
  • 遅い時間まで部屋で騒がれた
  • 知らない人が出入りするのを見た近隣の住民から苦情が入った

日本人だけが利用する民泊ですとトラブルは少なめですが、外国人を受け入れている民泊の場合は、文化の違いからこのようなトラブルが発生します。

いずれも頻繁に起こることではありませんが、このようなトラブルが重なっていくと、民泊の経営を続けていくモチベーションが下がります。

自分だけが苦労するならまだ我慢できるかもしれませんが、周辺の住民から苦情が相次ぐとなると継続するのが難しくなります。

いかにしてこのようなトラブルを回避するかというのが、民泊を続けていく上でとても重要なポイントになります。

利用規則を分かりやすくまとめ、罰則を明記するなどしてトラブルが発生しにくい宿泊施設を目指しましょう。

民泊を始めるための費用と収入

民泊を始めるには最低限の設備は揃えておく必要があります。

  • エアコン
  • 冷蔵庫
  • テレビ
  • Wi-Fi
  • 電子レンジ
  • ベッド
  • 寝具
  • ドライヤー
  • スリッパ
  • 調理器具
  • テーブル
  • 洗面用具
  • 洗濯機

このように、1人暮らしをするのに必要なものをひと通り揃えなくてはいけませんので、自分が所有している物件を利用する場合にも50万円程度はかかります

賃貸物件を借りて民泊をする場合には敷金や礼金なども発生しますので、100万円近い初期費用を見込んでおく必要があります。

収入は物件によって変わりますが、賃貸物件を利用する場合には家賃の3倍を稼がないと収益になりません。

10万円の物件を借りて民泊をするなら、宿泊費収入だけで30万円を目指すことになり、稼働率が50%なら1泊で2万円稼がなくてはいけない計算になります。

これは思った以上に大変です。

使っていない不動産があるなら民泊も稼ぎやすい事業ですが、物件を借りてとなると片手間ではできず、投資もしっかり行う必要があるということを頭に入れておいてください。

失敗しない資金調達方法

民泊を成功させるには、きちんと事業計画を立ててお金を借りるのがおすすめです。

ただし民泊は事業ですので、事業用途としてお金を借りる必要があります。

銀行はこれから事業を始めようという人には融資をしてくれませんので、日本政策金融公庫から借りるようにしましょう。

日本政策金融公庫は国による金融機関で、これから事業を始めるという人にも低金利で融資を行ってくれます。

ただし、誰でも融資を受けられるのではなく、しっかりとした事業計画書を作って、利益が出ることを示さなくてはいけません。

もっとも、事業計画なしで利益を出せるほど民泊は甘くありませんので、自分の事業を成功させるためにも、より精度の高い事業計画書を作って、資金を調達しましょう。

カードローンで生活資金も確保しておこう

仕事を辞めて民泊を始めるという人は、当面の生活資金も不足しがちですので、生活資金も借りられるようにしておきましょう。

会社を辞めてからですと銀行や消費者金融のカードローン審査に通過するのが難しくなりますので、会社員のうちに契約しておくといいでしょう。

ただし、カードローンで借りたお金を事業資金に使うと、規約違反で解約される可能性があります。

生活資金と事業資金は別の財布で管理するように心がけましょう。

ちなみに、銀行と消費者金融では次のような違いがあります。

銀行:低金利で高額な借入れが可能

消費者金融:金利が高く年収の1/3までしか借り入れできない

これだけを比較すると銀行から借りるほうが良さそうですが、銀行は審査が厳しいため誰でも借りられるわけではありません。

まずはメインバンクで利用している銀行のカードローン審査を受けて、審査落ちしたら消費者金融のカードローンを利用しましょう。

まとめ:民泊を成功させるには事業計画と資金調達が重要

インタビューから民泊を成功させるのは簡単ではないことが分かってもらえたかと思いますが、それでもビジネスと考えてしっかりとした事業計画を立てておけば失敗は防げます。

安易に始めるのではなく、事前調査をしっかりと行った上で事業計画書を作りましょう。

きちんとした事業計画書があれば、日本政策金融公庫からお金を借りることができ、経営も早い段階で軌道に乗せることができます。

すべて自己資金でなんとかしようとするのではなく、お金を借りて効率的に始めましょう。